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Heart Meets Worldの活動内容や、ブログ記事を定期的に更新しています。

2017/04/01

怒りの伝え方。

先日、請けたメール依頼。
 

海外から、とあるインテリア商品を
20年以上輸入しておられるその社長様は大層ご立腹だった。
 
「俺はな、何度も言ったぞ。過不足分を請求書に明記しろと。
 なぁ、何度もメールしてもらったよな!?」
 
実際、確かにその旨は何度かメールしていた。
これだけ口を酸っぱくして言えばわからない筈はあるまい、
むしろあまりにくど過ぎて、
先方はウンザリしているだろう…と思えるほどに。
 

しかし、現実はそんなに甘くなかった。
先方はその重要性を全くわかっていなかったのだ。

何度も連絡し、表記法の例まで提示したものの、
最終的に発行された請求書にその行はなく、
総合計額も修正されてはいなかった。
 
「ハッキリとキツい、厳しい口調で書いておけ。
『お前のせいで、俺は余分に関税や消費税を払わされる。
 絶対に許さない。一生覚えておけ』とな」
 
更には、
最終的な支払額と請求書の額が違うことを
釈明する書類を用意する必要があること、
にも関わらず、
一度払った税金は戻って来ないこと。
そんなことも、社長を苛立たせているようだった。
 
さて、その怒りを
先方にそのまま伝えることは決して難しくはない。

だが、果たしてそれは正しいのだろうか?

相手はその社長の一番の仕入先である。
良好な関係を続けたいであろうことは、間違いない。
 
どうしたものか?
 

私の結論は簡単だ。まずはお礼から入る。
そう、「飴と鞭」の『飴』から出すのだ。

Thank you for the invoice.
We will be sending you the rest of the payment on Friday.

これでまず、相手はホッとする。
届けるべき書類は届いた。
先方が必要としている支払もすると、期限と共に約束している。

Mr. President is, however,
rather furious about the fact “over and short”
line we repeatedly requested was not included in the invoice.

 
ここで「取引先のトップは相当お怒りです」と、
その大まかな理由と共に、出来るだけソフトに『鞭』を出す。

更には社長がなぜ怒っているのか、
書類が社長や会社に与えるインパクトなどを書き記し、
それがどれだけ大事なことだったのかを説明する。

ヨーロッパに居るその相手に
「10ユーロの物を買おうとして、あなただけ12ユーロ払えと言われたら怒るでしょう?
そう言うことになってしまうのですよ」とまで書いた。

 
ここまで全て、かなり丁寧なトーンだった。
ご立腹の社長は「キツい口調で」と言っておられるのだから、
英語が読めていたら不服だったであろう。

 
だが、この配慮は成功した。
あっと言う間に至極丁寧な謝罪文が送られて来た。
あまり例のない案件で、どうして良いのかわからなかった…と釈明しつつも、
先方は数日内に要望通りに修正された請求書を送付し、
更なる謝罪と共に「どうかこれからもよろしくお願いします」と伝えて来たのである。
 
ただでさえ難しい、怒りと言う感情の伝え方。
増してや、それが
自分の母国語ではない言語で表そうとした場合には、尚更である。
 
皆様の翻訳者は、
このような時に必要な
知識やテクニックを身に付けておられますか?

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